【邪神ちゃんドロップキック】予算の少ない作品は定石をずらす、宣伝Pの差異化論【関係者インタビュー】
更新日:6 時間前
『邪神ちゃんドロップキック』は、大手作品のような宣伝予算を持たないまま第3期まで続いてきた。宣伝プロデューサーの栁瀬一樹氏は、2022年12月の取材でその考え方を語っている。
栁瀬氏は作品を弱者と位置づけ、大手と同じ手を打っても勝てないと話す。本記事では、定石を少しずらす宣伝の中身を整理する。
この記事でわかること
何十本もある同期作品の中で、まず存在を知ってもらうための考え方
放送のない期間もファンとの接点を切らさない工夫と、その負担
切り抜き動画や二次創作を認めて海外に広げた方法
大手と同じ手は打たない
栁瀬氏は、宣伝の最初の目標を同期の数十作品の中で存在を知ってもらい、見てもらうことだと説明している。そのうえで「差異化こそが宣伝の全てである」という考えを示した。
初期には秋葉原駅のサイネージ広告を買ったが、成果は残せなかったと振り返っている。多くの広告が並ぶ場所に1枚足しても目立たない、という反省である。
2018年のエイプリルフールには、公式サイトを女子プロレス団体スターダムのレスラー写真に差し替えた。後楽園ホールでは声優とプロレスラーが共演するイベントも開いている。
放送のない期間をつなぐ
第2期は、BDとDVDが2,000枚売れたら作るという宣言から始まった。栁瀬氏は、その間もファンとの交流を途切れさせたくなかったが、宣伝予算はごくわずかだったと話す。
そこで劇中の天使3人をユニット化するクラウドファンディングを行い、目標300万円を4日で達成した。最終的な支援額は500万円を超えている。
ただし栁瀬氏は、クラウドファンディングは手軽な資金源ではないと強調する。返礼品の準備や問い合わせ、発送の負担が大きく、住所の入力ミスは全体の約7%あったという。
企画 | 目標 | 結果 |
|---|---|---|
ユニット化(フォーリンポップ) | 300万円 | 4日で達成、最終500万円超 |
第4期の分割払い | 3,000万円(OVA1話分) | 35分で達成、取材時6,000万円 |
切り抜きと二次創作を許可
YouTubeでは、違法アップロードより早く公式の切り抜き動画を出した。初音ミクが登場する場面は、特にメキシコでよく見られたという。
その後、ファンの切り抜きを認める二次創作ガイドラインを作った。第3期ではニコニコ動画と組んでMAD動画の投稿を呼びかけ、切り抜き動画での収益化も認めている。
2022年11月には、シンガポールのAnime Festival Asiaで劇中歌が披露された。記事によると、約3,000人のファンが集まった。
作品を終わらせない設計
栁瀬氏は、1話の制作費が約3,000万円に上がる一方、配信の収入は1再生あたり数円から数十円だと説明する。パッケージ会社が抜け、宣伝の人件費が新たな支出になったとも指摘した。
こうした中で、ファンクラブ邪教倶楽部を作り、錦糸町マルイでの展覧会など場所を持つ活動も続けている。原作者と栁瀬氏は、作品を一生続けると宣言している。
栁瀬氏は、多くのアニメが1クールで終わるため、アニメのファンクラブはほぼ例がないと話す。好きになってもいなくならない作品であることを打ち出している。
第4期は制作費約3億円を一度に集めず、3,000万円ごとにOVAを1話作る形にした。12話分が集まれば第4期として放送する計画である。
【邪神ちゃんドロップキック】ふるさと納税で制作費、千歳編は目標2,000万円に1億8,438万円、第3期は4市の「編」
同作のふるさと納税による制作費の集め方と自治体との組み方
ポイント:予算の小ささを前提に、ファンの参加や自治体との協業など、お金以外の資源で話題と接点をつくり続けている。
まとめ
予算が限られる作品では、大手と同じ広告枠を買うより、定石から少し外れた企画で目立つほうが効く場合がある。同期作品の中で知ってもらうことを目標にすると、施策を選びやすい。
一方で、クラウドファンディングやファン参加型の企画は運営の負担が大きい。発送や問い合わせの体制まで見積もってから始めることが欠かせない。
出典
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