【アニメ各社の決算】配信の買い付け頼みが限界に、東宝・KADOKAWAらの明暗【決算・IR】
更新日:7 時間前
アニメ産業の市場は過去最高を更新し続けている。それでも2026年春の決算では、赤字や大幅な減益を出す会社が相次いだ。
ITmedia NEWSの連載「アニメノミライ」で、まつもとあつし氏が各社の決算を読み解いた。アニメーションビジネス・ジャーナリストの数土直志氏の見方も紹介している。
この記事でわかること
配信の買い付けで制作費をまかなう仕組みが限界に来た理由
東宝・KADOKAWA・TBS・ADKなど各社の決算の数字
伸びる会社と苦しむ会社を分けた要素
市場は最高でも各社は苦戦
アニメ産業の市場規模(広義)は2024年に3兆8,407億円となり、過去最高を更新した。海外市場が全体の56.5%を占めている。
一方で、制作本数も増えた。TVアニメは2000年代初頭に年間約100本だったが、近年は約300本に達している。
【2026年版】数字で見るアニメ産業|市場規模・海外比率・分野別の推移
市場規模と海外比率の推移は、この記事で詳しくまとめている
配信の買い付けが頭打ちに
記事によると、配信のライセンス収入だけで制作費の8割から全額をまかなえる例もあった。配信サービスが買い付け額を引き上げていた時期のことである。
各社はパブリッシング全体で収支が合っていたため、制作への投資を続けられた。しかし配信サービスが買い付けを絞り始め、この構造が崩れたと記事は指摘する。
人手不足の中で品質と本数を追ったことで、想定を超えるコスト増も生まれた。記事の見出しにある「作れば売れる」時代は終わりつつある。
数土氏は、制作費が上がったときにどこで回収するかが問われると話す。不足分を補えるのは海外販売、商品化、イベント化といった二次展開しかないという。
赤字・減益が出た会社
KADOKAWAは2026年3月期の連結営業利益が81億円で、前年同期比51.3%減った。アニメ・実写映像事業は4億6,500万円の赤字に転じている。
記事は要因として、異世界ものの量産による打率の低下や、スタジオの買収・内製化による固定費の増加を挙げる。株主のオアシス・マネジメントからは、夏野剛社長の解任要求も出た。
ほかにも、スタジオKAIの債務超過や、TBSグループのアニメ事業での5億円超の損失が挙がった。ポニーキャニオンは77億円の損失を出している。
ADKは300本以上のアニメ製作委員会に参加してきた会社である。2025年6月に韓国のKRAFTONに750億円で買収された。
傘下のアニメスタジオでは、20億円超の債務超過が公示されている。
数土氏は、有力プロデューサーの独立で人材が薄くなった後も、同じ額の投資で同じ利益が出ると考えた会社があったと指摘する。
会社(決算期) | 項目 | 数値 |
|---|---|---|
KADOKAWA(2026年3月期) | 連結営業利益 | 81億円(51.3%減) |
KADOKAWA(2026年3月期) | アニメ・実写映像事業 | 4億6,500万円の赤字 |
東宝(2026年2月期) | 営業利益 | 678億円(過去最高) |
東宝(2026年2月期) | IP・アニメ事業の営業利益 | 173億円(前期222億円) |
伸びる会社の共通点
東宝は2026年2月期に営業収入3,606億円、営業利益678億円で過去最高を更新した。IP・アニメ事業の営業利益は約49億円減ったが、全体では伸びている。
記事は、東宝が映像から始まるライセンス運用の全体を「IP・アニメ事業」として束ねている点に注目する。
東映アニメーションについて数土氏は、鬼太郎やスラムダンク、デジモンなどを20年、30年と長く使い続けることにたけていると話す。
苦戦した側も手を打ち始めた。TBSは、安田現象監督が所属するゼノトゥーンの株式51%を取得し、子会社化すると発表している。
量と質の最適化が問われる
数土氏は、単純に作品数を減らせばよい話ではないとも語る。日本が減らせば、韓国・台湾・タイのスタジオが空白を埋め始めるからだ。
求められているのは、量と質の最適化だという。数土氏は、正しい選択をする会社は成長を続け、ファンの熱気も衰えていないと締めくくっている。
製作委員会とアニメの宣伝費|誰が何を負担し、どこで回収するのか
宣伝費を誰が負担し、どの窓口で回収するかを整理した記事
【2026年版】アニメ配信の市場データ|Netflix・Crunchyroll・ABEMA・dアニメの公表値
配信各社の会員数や視聴時間など、公表値をまとめた記事
まとめ
配信の買い付け額で制作費を回収する前提は、もう置けない。企画の段階から、海外販売・商品化・イベントのどこで回収するかを決め、宣伝もその出口に合わせて組む必要がある。
作品数を増やすより、1本の作品を長く運用して稼ぐ力が問われている。放送が終わった後の施策まで含めた宣伝計画が、会社の収益を左右する時代になった。
出典
関連記事
▼アニメマーケティングのご相談





